こんにちわ、リョウスケです。
現在のICT関連企業で注目されているのはマイクロソフト、アルファベット、アマゾンといった新興企業ですが、かつては「IBM」が世界中の投資家やエンジニアの注目を集めていました。
世界時価総額ランキングのトップには何度も君臨していましたからね。
そんなIBMも時間の経過とともに経営が陳腐化していき、今や多くの人に見放された企業の一つとなっています。
今回は「IBM」の2018年度第4・四半期決算の考察をしてみたいと思います。
<プロモーションドリンク>
まず、結論から言いますと、今回の決算は良かったです。
IBMの2018年度4Qの売上高は、217億6000万ドルとなり、前年度と比較すると、-3.63%減収となりましたが、アナリスト予想の217億1000万ドルを上回っています。
また、純利益は、19億5100万ドルとなり、前年度10億5000万ドルの赤字から黒字転換しました。 特別項目除く1株利益は、4.87ドルで、予想の4.82ドルを上回りました。
というわけで、IBMの2018年度4Q決算は減収増益となりましたが、アナリスト予想を上回るものとなりましたので、決算としては良かったと思います。
そして、同じく発表された2019年の調整後営業利益見通しは1株当たり「少なくとも」13.90ドルとし、アナリスト予想の13.79ドルを上回りました。
一方、2019年のフリーキャッシュフローは約120億ドルと、昨年とほぼ同水準になると予想しており、アナリスト予想の126億7000万ドルを下回りました。
これは、昨年10月に発表した総額340億ドルのレッド・ハット買収を巡る投資家の懸念をあおる可能性がありそうですね。
ジェームズ・カバノー最高財務責任者は、第4・四半期の成約実績が21%増の約160億ドルと好調だったことを明らかにし、1億ドルを超える成約が16件に上ったことは、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの提案が顧客にとって有益であることの表れだと述べています。
ちなみに、IBMはアマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アルファベット傘下のグーグルなど大規模なクラウドサービスプロバイダーとの直接の競合を避けるため、顧客が持つ複数のクラウドプラットフォームの統合を支援する戦略に注力しているそうです。
<プロモーションドリンク>
続いて、売上の内訳を事業ごとに見てみたいと思います。
以下は、今回発表された決算データです。
◆IBMの事業ごとの売上の内訳
2018年4Q | 2017年4Q | 増減 | |
Cognitive Solutions | $5,455 | $5,432 | 0.42% |
Global Business Services | $4,322 | $4,152 | 4.09% |
Technology Services & Cloud Platforms | $8,929 | $9,198 | -2.92% |
Systems | $2,621 | $3,332 | -21.34% |
Global Financing | $402 | $450 | -10.67% |
Other | $32 | ($20) | -260.00% |
TOTAL REVENUE | $21,760 | $22,543 | -3.47% |
IBMは、大きく分けて5つの事業で構成されています。
「Cognitive Solutions部門」の売上は、今年度54億5500万ドルとなっており、前年度比+0.42%の増収となりました。この部門にはIBMが力を入れている人工知能「ワトソン」の事業が含まれています。アナリスト予想の52億5000万ドルを上回っています。
「Global Business Services部門」の売上は、今年度43億2200万ドルとなっており、前年度比+4.09%の増収となりました。また、アナリスト予想の41億5000万ドルを上回っております。
「Technology Services and Cloud Platforms部門」の売上は、今年度89億2900万ドルとなっており、前年度比-2.92%の減収となりました。
「Systems部門」の売上は、今年度26億2100万ドルとなっており、前年度比-21.34%の減収となりました。
「Global Financing部門」の売上は、今年度4億200万ドルとなっており、前年度比-10.67%の減収となりました。
この中で気になるのは、「Cognitive Solutions部門」「Global Business Services」と「Systems部門」の売り上げです。
「Cognitive Solutions」部門はアナリスト予想を上回っているものの、前年度と比較してもそれほど成長していないのが気になりますね。同じく成長が期待されていた「Technology Services and Cloud Platforms」部門なんて減収ですからね。
ただその代わりに「Global Business Services」が大きく増収しており、皮肉にもこれまでIBMが強みを持っていたレガシー事業であるコンサルティング事業が業績を伸ばしています。
あと「Systems」部門は、大きく業績を悪化していますが、これは昨年度が特需があったためなので、あまり気にしなくても良いと思います。
クラウドベースの収入は18年に約12%増加し192億ドルに上ったが、伸び率は17年のわずか半分にとどまっています。
今回の決算では、減収増益となりましたが、アナリストの予想を上回りましたので、好決算と言っても良いですね。
この決算を受けて発表直後の時間外取引では最大+7%以上上昇しました。
ただ個人的には、こういった好決算も一過性のものであり、また次回の決算では予想を大きく下回る悪決算になるのでは、と思っています。
実は以前、私はこの「IBM」にそこそこ大きな資金を投入しておりました。
投資した理由はIBMの開発したワトソンが注目されており、これからのAI社会において、IBMもかつての勢いを取り戻すのでは?と考えたからです。
結局、3年以上保有しましたが、全然成果が見られないので売却しました。
今回の決算では、確かにアナリスト予想を上回っておりますが、肝心の次世代技術がほとんど成長していないので、私が想定していたシナリオに進んでいないので、私が売却した決断は間違っていなかったと思っています。
もし「IBM」に投資するのであれば、次世代技術に期待するのではなく、高い配当利回りによるインカムゲインくらいかと思っています。
▼大変申し訳ございませんが「ポチっ」と応援していただけると嬉しいです。
<プロモーションドリンク>